

1998年7月発行の「サーフィンライフ」誌の表紙になった「Surfers」
「Surfers」のアルバム「Songs From The Pipe」の中の「Never」を聴きながら当時のことを振り返ってみよう。
1998年、当時のMTVで活躍していたプロサーファーでもあるピーター・キングが、ケリー・スレイターとロブ・マチャドの3人で結成したバンドが「Surfers」だ。
彼らは世界ツアーの途中に日本で開催されるWCTに合わせて、プロモーションを兼ねて来日した。



こんなチャンスめったにないということで、雑誌『サーフィンライフ』で早速彼らの取材が始まった。撮影場所は芝浦のASRの入り口にあったクラシックカーの前。とりあえず表紙も含めて特集でいこうと、当時としては破格の取材費が割り当てられ、南の島をイメージして車の下に白い砂を敷くなんていうセッティングもできた。強めのライティングで真夏の海岸を演出。カラーとモノクロで撮影したんだ。


肝心の足元の砂の量が心許なくて何袋も追加してやっとさまになったのだけど、あの後、砂はどうなったんだろう。屋内だから当然ライティングが必要。ストロボも何台か用意して大掛かりなセッティングを組んだ。
表紙の撮影だったから、確認のためにポラロイドが使える6X7のカメラも用意して、僕としては珍しく多めに撮影したんだ、当時はフィルムなので一応は厳密に露出は決めるけれども、現像が終わらない限り写真が見られないので、安全確保で「切り現」といってフィルムのはじめか終わりの何コマだけ先に切り取ってそれを現像した結果で、残っているフイルムを増減感するかを決めることができたんだ。ただその切り取ったカットがすごく良くても使えないリスクもあった。けれどそこは目を瞑ってもかえられないメリットもあったのは確かだった。
しかし、そんな杞憂がこの時ばかりは現実になるとは思いもしなかった。案の定切り現されて上がってきたカットは、僕が見る限り最高だったけれど中途半端な所でカットされていて使えない。さすがに落ち込んだけれど、残りのカットに全てをかけて現像したら、何枚かは表紙候補になりそうな写真があったのでフーっと安心した。彼らにはもちろん裸足になってもらったんだ。プロモーションを兼ねていることもあって、彼らは始終協力的で、撮影は順調に終了した。


なにしろ密着取材なので、この後のライブステージの撮影やラジオ番組の出演スケジュールやインタビューの撮影など、やらなければならないことが沢山あったけれど、むしろ僕は彼らと一緒にいられる事のほうが楽しかったし嬉しくもあったんだ。
この時に撮影したカットのなかでもロブがギターを持っている写真は彼自身も気に入ってくれて、素敵な言葉「・・・・・」を写真に添えてくれた、今でも僕のお気に入りの一枚なんだ。



みんなで行った千葉で撮ったケリーのポートレートも好きな写真だ。

今でも思い出すのはラジオ番組の出演の時の事。とりあえず本番前まで用意された別室で僕ら4人は呼ばれるまでただ所在なく雑談していた。ふとテーブルの上にあった灰皿を誰かが見つけて、早速ゲームが始まったんだ。テーブルの端から灰皿を手で弾いてギリギリのとこで落とさずに止めるっていう本当に単純なゲームなのに、始めたらだんだんエスカレートして大騒ぎなんだ。
こんなすごい連中が遊びとはいえ競争心に火がついちゃうと、やっぱりコンテストに出てるくらい真剣になっちゃうんだと思って可笑しかったけれど、最後に僕にもやらせてよっていって灰皿ポンて押したらなんと本当にギリギリの所で止まっちゃったもんだから、みんな驚いて大騒ぎ。三人とハイファイブ決めた僕も最高!この取材では彼らとはずいぶんと一緒の時を過ごしたけれど、なぜかこの時の思い出だけが強烈に残っている。きっとあの時、僕も含めて子供のようになってゲームに没頭していた彼らの姿が忘れられないのだろう。いまでも「Spotify」で彼らのアルバム「Songs From The Pipe」が聴けるので是非!


記念でこの時切り現でカットされた38年前の写真を使おうと決めたけれど、これはこれでいい感じだね。

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サーフィンライフ アーカイブ Vol.18~1998年7月号から
ケリー、ロブの現在に至るまでの活躍はみなさんご存知の通り。ピーター·キングはその後、マルチプルな才能を生かし、フォトグラファー/ビデオグラファーに転身しています。現在、WSLのムービーシリーズ「ツアーノート」のディレクション、製作しているのがこのPKなんですよ。
